医療統計推進協会

LECTURER講師紹介

松野 純男(まつの すみお)

近畿大学薬学部教授 博士(薬学)

 

【経歴】

1988年:大阪大学薬学部薬学科卒業

1990年:大阪大学大学院薬学研究科博士課程前期修了

製薬企業研究員ののち

1997年:武庫川女子大学薬学部講師

2003〜2004年:米国Northwestern大学医学部客員研究員

2004年:武庫川女子大学薬学部助教授(2007年より准教授)

2010年:近畿大学薬学部教授

現在は統計学の手法を応用しながら、未知の有害事象の探索、新たな教育評価手法の開発、ストレスの定量化などに取り組んでいる。

【メッセージ】

近畿大学の松野です。私自身は統計の専門家ではなく、元々は生化学や細胞生理学が専門の研究者です。皆さんと同じように、学生時代は統計講義の最初の1コマを受講しただけで「こんなんわかるか〜!(ノΦωΦ)ノ.:・┻┻」と単位も取っておりません。

そんな状態の私でしたが、製薬企業に就職すると、毎日のように自分の実験データを解析する必要に迫られます。切羽詰まって泣く泣く統計の「入門書」をいくつか購入し、独学で勉強を始めました…..

まぁ、全然わかりません。日本語が書いてあるかすらわかりません(笑)。でも諦めず毎日「入門書」を開いてはすぐ閉じる日々を続けてきました。半年くらいその状況が続いたでしょうか。そんなある日、本のページを見て「あれ?この文章ってこんな意味では?」と理解できる箇所が出てきました。別のページも見てみるとなんとなくわかる。そこからは少しずつ意味がわかって本を読めるようになってきました。まさに「読書百遍義自らあらわる」でした。さらに専門書も購入し、何年かかけてようやく人に説明できるようになりました。

さらに、生化学の教員として大学に戻って数年後、とある事情で統計の講義を担当することになりました。自分が統計で苦労した経験から、所謂「統計学」にならないように、薬学の世界で実際に経験するであろう、病院、薬局、研究室を想定したデータの「統計解析」を解説するようにしました。この講義は少し評判となり、ちょっと統計に詳しい輩がいると、噂を聞きつけた人たちが、次々とデータを解析してほしいと持参するようになりました。しかしながら、やっと講義ができるようになった程度のスキルでは、まだ手に負えないものも多く、中には見た事もないような研究デザインのデータもあり、一緒に悩みながら勉強して、自分自身の統計スキルも向上していきました。

このように、誰もが統計はゼロからのスタートだと思います。私がかつて苦労したことは、みなさんが直面していることと同じだと思います。当協会のベーシックコースでは、私自身がそんな原点に立ち返りながら、皆さんと同じ目線で一つ一つステップを上がっていければいいなと考えています。ぜひ一緒にステップアップしましょう。


波多江 崇(はたえ たかし)

中国学園大学現代生活学部教授 博士(医学)

 

【経歴】

1994年:福岡大学薬学部卒業

1996年:福岡大学大学院修了(薬理学教室)【修士(薬学)】

2000年:西九州大学健康栄養学科専任講師

2001年:佐賀医科大学大学院修了(解剖学教室)【博士(医学)】

2002年:西九州大学健康栄養学科助教授

2007年:有限会社健康倶楽部調剤薬局グループDI室

2009年:奥羽大学薬学部医療薬剤学講師(実務家)

2012年:神戸薬科大学薬学臨床教育センター准教授

2018年:神戸薬科大学薬学臨床教育・研究センター教育研究部門准教授(組織の名称変更)

2019年:中国学園大学現代生活学部人間栄養学科教授

【メッセージ】

私の本来の専門は統計ではなく、神経解剖学です。

総合大学の薬学部に入学しましたので、統計学は隣接する理学部数学科のバリバリの数学者の方の授業を受けましたが、あまりにも理解できなかったために、『何で数学科の先生が薬品で汚れもしないのに白衣を着てるのか?』なんて、授業中に全く関係ないことを考えていました。当時は選択科目でしたので、単位を落としたまま卒業してしまいました。

その後、進学した医学部の大学院では解剖学の研究室に所属していましたので、簡単な検定の使い分けだけがわかれば良い状態でした。

ところが、初めて教員として採用されたのが管理栄養士養成の大学で、薬学部のように実験系の基礎研究だけでなく、ヒトを対象とした調査研究が日常的に行われていました。実験系の基礎研究では、t検定など基本的な数種類の検定だけ知っておけば研究に支障をきたすことはありませんでしたが、ヒトを対象とした調査研究では様々な解析方法があり、それらを使い分ける必要があることを知り、初めて統計を本格的に勉強しなくてはならない状況におかれ、途方に暮れたことを思い出します。

その時、偶然にも上職の1人に栄養疫学に精通した方がおられ、夕方になると連日のようにその方に医療統計の基本の手ほどきを受けることができました。その師弟関係は数年間続きましたが、このことは、今でも私の人生の中で非常に幸運なことの1つだと思います。その後は統計学や医療統計の実用書、専門書などを何度も何度も読み返し、指導を受けた内容の理論を苦しみながら少しずつ理解していきました。

薬剤師として現場経験を積んだ後、薬学部の教員として採用された時、全国の薬学部では6年制薬学部の教育効果などを検証する必要性に迫られていました。薬学部の教員で、ヒトを対象とした調査研究の経験がある教員は皆無だったため、私が大学から文部科学省や厚生労働省に提出する正式な調査を任されることになりました。突然、大きな責任を背負わされ、しかも、他に相談する相手もおらず、冷や汗をかきながら勉強したことを今でも思い出します。

まだ当時は薬学の教員で調査研究を専門的にしている人が珍しかったため、調査研究で学会発表や論文執筆をしているうちに、講演や執筆の依頼、共同研究の申し出などが多数寄せられるようになり、経験したことがない分野の研究に携わるたびに、専門書や論文を読んで、少しずつ対応できる範囲が広くなり、現在に至っています。これまで、何度か、大学教員を続けながら、医療統計の大学院へ進学し、本格的に教育を受けることも考えましたが、子どもたちの教育への出費が大きく、自身の研鑽に割く余裕がありませんでした。

実は、大学受験では、数学の偏差値が他の科目に比べてかなり低かったために、第一希望の大学に合格できませんでした。まさか数学が苦手な私が、将来、医療統計を教えることになろうとは夢にも思いませんでした。

いろいろな方々との出会いがあって、今の私があることを実感していますが、私一人の努力では統計の専門家への道は挫折していたと思います。みなさんの中から、将来、薬学領域における統計の専門家と呼ばれる方が出てくると思いますが、是非一緒に楽しみながら、医療統計のスキルを身につけるお手伝いをさせていただきたいと思っています。